心理学用語

トリヴァース=ウィラード仮説

心理学における「トリヴァース=ウィラード仮説」とは?

トリヴァース=ウィラード仮説は、一夫多妻制の動物において、母親の社会的地位や健康状態が高いほど、オスの子孫を産む確率が高くなるという仮説です。

この仮説は、1973年に生物学者ロバート・トリヴァースとデヴィッド・ウィラードによって提唱されました。彼らは、動物の繁殖戦略を進化論的な観点から分析し、母親の社会的地位や健康状態が高いほど、より多くの資源を子孫に供給できるため、オスの子孫を産む確率が高くなるという結論に至りました。

トリヴァース=ウィラード仮説は、様々な動物種で観察されています。例えば、ライオンやハイエナなどの大型ネコ科動物では、メスは群れの中で順位が上であるほど、オスの子孫を産む確率が高くなります。また、ネズミなどの小型哺乳類では、メスが健康で繁殖能力が高いほど、オスの子孫を産む確率が高くなります。

この仮説は、動物の繁殖行動と社会構造を理解する上で重要です。また、人間社会における性差やジェンダーについても示唆を与えてくれる可能性があります。

参考URL:

Trivers & Willard (1973 Experimental and Natural History Analyses of Avian Parental Investment and Sex Ratio Selection:https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-319-71271-0_4

The Trivers-Willard Hypothesis and Human Sex Ratio:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4874707/

補足:

トリヴァース=ウィラード仮説は、あくまでも仮説であり、全ての動物種に当てはまるわけではありません。また、この仮説は、生物学的な要因に基づいたものであり、文化的な要因や社会的要因などを考慮していないという批判もあります。

しかし、トリヴァース=ウィラード仮説は、動物の繁殖行動と社会構造を理解する上で重要な手がかりを与えてくれる仮説であり、今後も研究が続けられています。


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